ワンダーウーマン絶対見るウーマン

愛されたければまず相手を愛すこと 私たちは愛から生まれてきたから

吉澤嘉代子『残ってる』— 朝帰りの、あの心もとなさ。

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吉澤嘉代子 『残ってる』
(歌手、作詞、作曲:吉澤嘉代子

 

朝帰りの道の途中。相手への気持ちがまだ残っているのに、そんな私を置いて今日という日常がまた始まっていく…こんな気持ちになったことがある方は多いんじゃないでしょうか。もう、この曲を初めて聴いたとき、「え!?私か!?」ってくらい共感of共感しました。そもそもこんな朝帰りの経験なんて人に話せるものでもなし、話すといってもこの切なさを表すには語彙が、語彙が足らねえ~!状態で、また自分の言葉にすれば軽薄なものとなって消えてしまいそう。しかし、この曲はそんな切なくて不安定な感情をみごとに表現しています。

その思い出は大切なキャンディーのように自分だけでじっくり溶かして味わいましょう、この曲とともに。

改札はよそよそしい顔で
朝帰りを責められた気がした
私はゆうべの服のままで
浮かれたワンピースがまぶしい 

まず この、歌い始めから一気に引き寄せられます。いつもは通勤・通学で素通りする改札を今朝は反対方向から通るという、非日常。周りの人間は、自分が昨日と同じ服を着ているなんていうことは知らないのに、昨夜なにがあったかを唯一知る私だけがなんだがそわそわしてしまって、デート用の服装が浮いてしまっているような気がしてならないのです。もう巻いた髪とか取れかけてるのね、始発ではなんかそれも居心地が悪いの。

風邪をひきそうな空
一夜にして 街は季節を越えたらしい 

いつもと同じ朝なのに、いつもと同じ街並みなのに、まるでひとつ季節が過ぎてしまったかのように感じてしまう。

まだ あなたが残ってる からだの奥に残ってる
ここもここもどこかしこも あなただらけ
でも 忙しい朝が 連れて行っちゃうの
いかないで いかないで いかないで いかないで

余談ですが、とある日に思いがけず相手の家で過ごしたことがありました。相手は仕事があるのでこれからお風呂に入って準備しなければならず、自分もスキンケア等何も持ってきてなかったのでシャワーを借りずそのまま帰ることにしました。じゃあね、と言ってドアを出ると、秋から冬へと変わっていく朝焼けの空に、自分の吐いた息が白く舞い上がって消えていきます。それを眺めていると、一呼吸置いて、後ろからガポン、という音の後に家の窓から白い湯気が大きくもれて舞い上がっていく。その様子を見ると寂しくて、でもなんだか愛おしい気持ちになりました。きっと、私はまだ昨夜を引きずっているのに、相手は新しい一日を始めようとしているのが寂しかったんだ。けど、その白い湯気が住宅街の空に舞い上がっているのを見て、こんな自分たちもその日常の一部分であることを実感して、また愛しくなったんだなぁー。はぁー。(大の字)

私まだ 昨日を生きていたい

 ほんまそれ。そう、本当に好きな人と過ごした朝帰りの日ってこれしかない。朝一緒に支度して別の服を着て出かけるのではちょっと違う。昨日の食事からその後までの出来事を何度も自分の中でループして、ずっとその中を生きていたい。ええ…?お仕事…?したくない~。

駐輪場で鍵を探すとき
かき氷いろのネイルが剥げていた

ここ!!!!!!!!

この一文がもう色んな意味を含みすぎて最高ですよね。ネイル(恐らくセルフネイルでしょうか。そこも良い。)が剥げているのは、その…いたした内容の激しさを物語っているとも言えますし、その時までネイルが剥げていることに気づかないほどまで彼女が物思いにふけっていたとも受け取れます。かき氷という夏に浮かれたネイルが、一晩にして少し季節外れのように感じられるという、ある意味少し達観した女性の感覚がうかがえます。昨日まであんなウキウキして可愛い―ってなったネイルなのにね、なぜでしょう、昨日と全く違って感じられる。駐輪場ってとこも、自立した女性というよりは、大学生から20代くらいの実家住みの女性って感じもして。好きな人との一晩と、その後に自転車で帰るっていう間にギャップがあって、より昨晩への想いをかきたてているような。

まだ 耳に残ってる ざらざらした声
ずっとずっとちかくで 聞いてみたかったんだ 

 はーーーー。(頭をかかえる)

その相手との初めての夜ということですね。いいなぁいいなぁ。

秋風が街に 馴染んでゆくなかで
私まだ 昨日を生きていた

これは過去の自分への回想なのでしょうか。

それにしてはこの思い出は、まだ生温かさを保っています。

 

 

三月大歌舞伎を観てきました

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先日、ありがたいことにチケットをいただきまして、観てきました。

歌舞伎を見るのは学生ぶり。(実際に歌舞伎を観て感想を書けというレポートがあったのです)当時は忠臣蔵の幕見席でしたが、今回は夜の部を1階、しかも花道近くで観ることになり、行く前からドキドキ。

 

■服装・持ち物

・ニット+タイトスカート+パンプス(普段着7割、よそ行きの洋服2割、着物1割くらいでした)

・マスク、ティッシュ(花粉症のため)

・お茶、おにぎり(夜食用)

・S字フック(私は持参してないのですが、前の方が使ってて良いな〜と思いました。カバンやお弁当を引っ掛けておくのにかなり使えそう)

 

■15:40頃

銀座駅着。

開演まで時間があるので、外観を撮ったり、イヤホンガイドを借りたり、コーヒー飲んだり。お土産さんがたくさんあるので、散策してたらあっという間に時間が過ぎてしまいそう。歌舞伎座のお菓子だけじゃなくて、髪飾りとか着物の小物のお店などもあり、お客さんも着物の人が多くてなんとなくお祭りっぽい雰囲気。

 

■イヤホンガイド

イヤホンガイドは歌舞伎座入り口右側で借りることができるのですが、初心者は絶対借りた方が良い!700円+1000円(保証金で返却時に返ってくる)で、あらすじや浄瑠璃の歌詞説明、装飾品の小物解説やその他小ネタが楽しめます。

 

■16:15

トイレを済ませて、いよいよ開演。

入場してフロアをうろうろしてると、職員の方が丁寧に座席まで案内してくれるので安心です。

 

■一、『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)』

金を目当てに油屋に揺すりを企てた夫婦の悪巧みが徐々にバレていくさまがコント的要素もあり、面白い演目です。

 なんといっても、鬼門の喜兵衛を演じる片岡仁左衛門が花道から現れたときね…

かっこいい〜〜〜〜!!シワの一本一本がかっこいい〜〜〜〜!! 

公演後に素顔のお姿をぐぐってみたらなにこの素敵おじんええ〜〜無理〜〜;;

一方、お六演じる玉三郎さまの女っぷりね…!もう声帯からこの人違うんじゃないかなってくらい中年女性のお六に成りきってました…。

そしてこの夫婦の悪党っぷりが最高です〜〜揺すり目的のべらんめえ口調も聞いていて気持ちが良い。最後に企てのアラがバレ初めて、籠を担いで逃げ帰るのも可愛いくて面白い。初心者でも、見ていて気持ちいい演目。何度見てもクスクス笑っちゃいそう。また見たい!

 

■30分休憩

あっというまにもう18時近く。

ロビーの机をお借りして、おにぎりを1個食べたけど、それだけじゃ足りないな〜と小腹が減っていたところ、『めでたい焼』なるたいやき屋さんを発見。

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どうやら250個限定の、歌舞伎座限定のたいやきだそうで、紅白のお餅入りで1個250円。

周りの人が並び始めたので、つい買ってしまいました。焼きたてだからあったかくてパリパリして美味しい〜!お餅とつぶあんが混ざっててそれがまた美味しい。ペロリでした。帰り際に見たら売り切れになっていた。調べると、結構食べられないみたいですね、ラッキーでした。

他にも軽食やスパークリングワイン(!)、食事処もあって、いくらでも楽しめるな〜〜と。(ただし、座席にはドリンクホルダーなどはないので注意)

 

■二、『神田祭

鳶頭と芸者の二人がずーーーーっとイチャイチャしてます。なに?お祭りでちょっとキメた二人がデートしちゃう感じ??お祭りですからね、まあね、良いでしょうとも、ええ………
しかし、ずっとイチャイチャしてんなぁ!!この二人!!もぉー目線と目線がチラチラ交わされる感じ、こっちが照れちゃいます。

それにしても、まー仁左衛門さまと玉三郎さまの息のあったことというか、二人とももう踊りや振りはもう体の奥の奥まで染み込んでいるのでしょうね。舞台のど真ん中の当事者でありながら、そんな自分たちを天井から見下ろしながら演じている…そんな雰囲気があります。二人の世界というよりは、二人の意識だけひとつ飛び抜けて、その世界を見下ろしているような…。この二人ほどでないと達さない境地のようなものを感じます。

最後も花道で存分にイチャイチャして出て行きました…もうでてけえ!泣

 

■三、『滝の白糸』

泉鏡花原作、玉三郎さんが演出された演目。

〈あらすじ〉

水芸者として活躍する若く美しい芸者・滝の白糸(壱太郎)と乗合馬車で生計を立てる村越欣弥(松也)は旅の途中で出会い、後日に浅橋のふもとで再会する。父を亡くし、老いた母を養うため、今は客馬車で生計を立てているが、本当は東京に出て法律の勉強がしたいという欣弥の想いを知った白糸は、自分にその金銭的工面をさせて欲しい名乗りで、二人は生涯の仲を誓う。しかし、ある夜に欣弥への仕送りを奪われたことから、二人は意外なところで再会を果たすこととなる。

すみません、私、全く事前知識が無く、白糸が欣弥と生涯を誓うあたりや、他の芸人団とのいざこざあたりなんてボーーーッと見てたんですけど、最後の最後にもう…こーくるかーーーと。

様々な点と点が繋がりあい、二人の数奇な運命は、法廷という場所で再び合わさります。

白糸が無罪のまま退出出来そうだったのに、途中で人間としての善悪の判断責任に駆られた欣弥が検事として白糸を裁こうとしたあたりは、欣弥おまえええええって感じでしたが、最後の最後に二人が下した決断が、もう……これ以上ないラストシーンでした。とても欣弥と白糸らしい最後だと思います。

主役二人がとても良かったです。壱太郎さん演じる白糸なんて、目がうるうるして、若くて美人で芸人して成功してるけど、たった一人の男性を半ば夢心地で思い続ける純粋さと、そのためならいくらでも自分は耐えられるという強さが全身から溢れていました。

欣弥演じる松也さんも、舞台上にどんなに人が溢れていようと、誰がどう見ても主役はこの男だ、というオーラがありました。これは、テレビで見かけることが多いからという理由だけではないはず。

 

■21:00 終演

いやー、初めてちゃんと歌舞伎を見ましたが、大大大満足で、とっても楽しかったです。良い演目があったらまた見たいです!